建設業の許可を得るには専任の営業所技術者を置く必要があります。その要件について詳しく解説します。
営業所技術者とは何をする人
営業所技術者は、その営業所で行う建設工事の請負契約について、技術的な面から適切かどうかを判断し、責任を持つ専門家のことです。主な役割は、見積もりと契約の「技術的チェック」です。現場での施工ではなく、営業所内で技術的な適正管理を行います。
見積書の作成・監理:
工事の内容に対して、工法や金額が妥当かどうかを技術的見地から確認します。
請負契約の締結:
その工事を自社で安全・確実に施工できるか判断し、契約手続きをサポートします。
入札への参加:
公共工事などの入札において、技術的な資料の作成や確認を行います。

営業所に専任しなければならない
建設業法における「専任(せんにん)」とは、一言でいうと「その営業所に常駐し、もっぱらその仕事に集中している状態」を指します。営業所にいて、いつでも技術的な判断ができることが厳しく求められます。具体的には、以下の4つのポイントがチェックされます。
- 「常勤性」があること
その営業所の開いている時間(通常の勤務時間中)は、原則として常にそこに勤務(テレワークを含む)している必要があります。
- 通勤可能か
自宅から営業所まで、社会通念上、毎日通える距離であること - 雇用関係
会社と直接的な雇用関係があり、給与が支払われていること(社会保険証の写しなどで証明します)。 - 「他との兼任」をしていないこと
「専任」という言葉通り、他の役割を掛け持ちすることは原則できません。
他の会社の常勤役員や、別の会社の技術者として登録することはできません。
他の会社でフルタイムで働いている、または自分の店を経営している人も登録できません。
授業で日中不在になる学生や、長期入院中で業務ができない状態の人も登録できません。
宅建業の「専任の宅地建物取引士」や、建築士事務所の「管理建築士」などは、「同じ場所、同じ会社」であれば兼任できますが、別々の場所であればNGです。
主任技術者との兼任について
工事現場の主任技術者と兼任するには次のすべてを満たす必要があります。
- 当該営業所において請負契約が締結された建設工事であること。
- 工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、当該営業所との間で常時連絡を取りうる体制にあること。
- 当該建設工事が、主任技術者等の工事現場への専任を要する工事でないこと。
主任技術者等の工事現場への専任を要する工事とは、公共性のある工作物に関する重要な工事で請負金額4,500万円(建築一式工事は9,000万円以上)の工事をいいます。
営業所技術者になるための要件

営業所技術者になるには学歴・実務経験・資格など以下の要件があります。
- 大学・高専 指定学科を卒業後3年以上の実務経験が必要。
- 高等学校・中等教育学校 指定学科を卒業後5年以上の実務経験が必要。
- 専門学校(専門士以上)指定学科を卒業後3年以上の実務経験が必要。
- 専門学校(その他)指定学科を卒業後 5年以上の実務経験が必要。
- 上記以外(資格なし)学歴問わず 10年以上の実務経験が必要で、許可を受けようとする建設工事に限る。
※ 実務経験の重複については別途規定があります。
- 海外での工事経験を有する者で国土交通大臣の認定を受けたもの
- 一定の国家資格等を有する者
国家資格を有しなくても検定合格者には以下の緩和措置があります。
1級の第1次検定又は第2次検定合格者は3年の実務経験
2級の第1次検定又は第2次検定合格者は5年の実務経験
※ただし指定建設業及び電気通信工事業を除く
指定建設業とは7業種
土木・建設・電気・管・鋼構造物・舗装・造園
特定建設業の営業所技術者の資格要件
一般建設業の営業所技術者となりうる要件を満たしたうえで、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が4,500万円以上であるものについて2年以上、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験を有する者。
※ただし指定建設業7業種を除く。
さいごに後継者についての注意点
営業所技術者が退職などで不在になると、許可が取り消されるリスクがあります。常に後継者や有資格者の確保を考えておくことが経営上重要です。
建設業の契約は、金額も大きく内容も専門的です。お客さんが営業所に相談に来たときや、見積もりを出すときに、「技術的な裏付けを持って責任ある回答ができる人」が常にそこにいないと、適切な契約が結べません。以上のように営業所技術者は建設業者にとって大きな責任を担っています。